幼蟲

2009年1月14日 Voice
醜い。
見れば見る程、醜い。
吐き気がする。
寒気がする。

全部嫌い。大嫌い。この世で一番嫌い。

美女なんて私の中には居ない。
生まれた瞬間から 賤しき野獣しか居ない。


息が出来なくなって、
過去の写真を出してきた。
…こんなもの。

私が切望している過去の自分だって、
こんなもの。
幾ら痩せていてもこんなもの。
最高だと思っている頃が、この程度。
嘲笑しか生まれない。

破り捨てたいのに、どうしても出来ない。
まだ羨ましくて、恨めしくて、出来ない。
私は何を勘違いしているのだろう。



あの頃は、私の水面には
怖いものなど何も無かった。
何があっても、羨まれ褒められ憧れられ
おだてられる事で自分を赦せた。

ひとつでも失くしたら狂うと確信していた。
写真一枚、今では縁遠いプリクラ一枚でも
失敗すると自分がいなくなりそうで怖かった。
その位、
余裕があって見栄を張らずにいられる人とは違い
崖のギリギリで自尊心を保っていた。
虚栄の塊だった。


あの人になりたい、あの顔が欲しい
あの人柄が欲しい、あの能力が欲しい
私自身が他人を羨まない日など無かった。
目に見える優位しか信じようとしなかった。
他人の良い所ばかりが目について
どんな人だって自分より優れて見えた。

そう、誰だって。
こんなドロドロとした劣等感で凝り固まった人間よりは。

だから何度羨ましいと言われようが
好きだと言われようが、取り囲まれようが
私は此処に居ないのだと思ってきた。


ある日、全てを失くした。
ひとつどころでは無い、全てを失くした。
正確には
ひとつを失くすと崩れ堕ちるように全てを失うのだ。

何も持たない状態で
これでも考えられない程外の世界へ出向いた。
信じられない程、あれでも穏やかだった。

だから時にこうして静かに狂う。
戻るだけでは駄目なの。
超えるまで、藻掻かなければいけないの。

私は、欲だけでできた生き物だから。



春に、従姉妹の結婚式がある。
双子の片割れの結婚式には去年行けなかったけれど
秋の再会のお陰で、今なら行ける気がする。

その時、振り袖を借りるかも知れない。
成人式すら出られなかった私が、振り袖だなんて。
夢でも嘘だと思うような話だ。

ここ数日、TVの報道が眩しくて見られないのに。
そういえば着物自体着た事が無いのに。


母は「写真も撮って貰ったら?」と勧める。
幼い頃「あなたは人並より絶対上だよ」と言ってきた母は。
そこまではさすがに無理でも…
気分だけでも、あの頃の私の悔しさを軽く出来るなら。

着てみようかな、と思う。
写真だけは巧妙に避けて。

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