蛾

衣替えのようなことをして
他の作業も少しはできて
起きるのは遅かったけれど
野菜中心の食事を摂って
夜まで事件は起きず


の、はずだったのに。

いつの間にか、
詰め込んで吐いてた。

今日起きてまた繰り返し。

勿論痩せはしない。
過食には到底追いつかない。
吐く分、犠牲になる食材が多いだけ。

これ以上顔が肥大したら
笑って人に会えないのに。

本当に、笑えないの
表情が作れないの
顔が首が頭が痛くて痛くて

もう明日なのに。

それが負担じゃないと言えば嘘になるけど
励みになるはずだったのに。



泣いても仕方ない。
もはや無感情。
悔しくも、悲しくも何ともない。
怒りさえ湧いてこない。

いよいよ終わりに近づいた状態。


衣替えも、
「痩せないと着られない
　（物理的にというよりは、許されない）」
「妥協して着ている服」
「もう実家に置いておくほど古い」
「当分流行らない」
「外に出るために着る、今の服」
「人に見せても大丈夫なルームウェア」

…その他カテゴリがあり過ぎて大変。
このカテゴリを勝手に作ったのは私。
無駄な服をたくさん必要としたのは私。

いつもなら泣いてた。


「普通の服」を着る資格がないんじゃないかって
だから家ではボロ同然のものしか着ていない。
お風呂にすら入れないから。

伸び切ったスウェット、Tシャツ。
出られそうな時は、色あせたキャミソール。
すぐ上に何か着られるように。
でないと勇気が出ない。

可愛いルームウェアは眠ったまま。

この情けない服達を、まだ手放せない。


今私は人間じゃない。
なのに人間に会わなければ
生きていることにはならない。
生物学的には人間らしいから。

明日には笑っているんだろう。
帰ったらまた何週間も引き籠るんだろう。

一目で「普通の生活をしていない」と
他人に分かると思う。
それをどれだけ隠せるのか、自信がない。

滲み出る暗さは、
いくら明るい色の服を着たって隠せない。